OpenAIは11日、教育機関向けのChatGPT無料プランの機能を大幅に拡充すると発表した。新プランでは、従来の月間メッセージ数制限が撤廃され、GPT-4レベルのモデルを無制限で利用できるようになる。また、教員向けの専用ダッシュボードも提供され、学生の利用状況や学習進捗を可視化できる機能も追加される。
この発表を受け、日本国内の大学でも導入検討が加速している。早稲田大学、慶應義塾大学、東京大学などの主要大学では、既に全学生向けにChatGPTアカウントを提供する方針を固めており、2025年度春学期からの本格運用を目指している。
特に注目されているのが、プログラミング教育やレポート作成支援での活用だ。多くの大学では、AIを「禁止」するのではなく「正しく使う方法を教える」方向にシフトしており、AIリテラシー教育を必修科目として導入する動きも広がっている。
東京工業大学の情報理工学院では、既に「AIを活用したプログラミング演習」という科目を新設し、学生がChatGPTやGitHub Copilotを使ってコーディングを学ぶ実践的なカリキュラムを提供している。受講学生からは「従来の教科書ベースの学習よりも、AIと対話しながら学ぶ方が理解が深まる」といった声が多く寄せられているという。
一方で、AIに過度に依存することへの懸念も指摘されている。教育関係者の間では、「AIはあくまで学習を補助するツールであり、批判的思考力や問題解決能力を養うことが最優先」という認識が共有されており、各大学ではAIの適切な利用ガイドラインの策定を進めている。
文部科学省も、生成AIの教育現場での活用に関するガイドラインを年内に公表する予定で、教育の質を保ちながらAI技術を効果的に取り入れるための指針を示す方針だ。OpenAIの今回の発表は、教育現場におけるAI活用の転換点となる可能性が高い。